ヒミツの王子さま!
好き?
日向を?
ドクン
夕暮れのオレンジに染まる校庭。
その太陽は、もうとっくに見えなくなっていたけど、オレンジのその光だけは残っていて。
俺と。
そして図書室の中にいる、日向と葉月を照らしている。
息をするのも苦しいくらいの沈黙。
それを破ったのは、ほかでもない、日向だった。
「……あ、はは。やだな、またあたしをからかってるの?慧吾くんっていつもそうやってあたしをからかって、遊ぶんだから」
まるで自分に言い聞かせるように、日向が笑う。
見なくても、真っ赤に染まる照れた顔の日向が想像ついてしまう。
「はぐらかすなよ。 俺は本気」
「……、っ……」
地面についたままの両手を握りしめて、俺は行き場をなくしていた。
きっと、こんな告白、初めてじゃない。
日向は、何人にこうして「気持ち」を言われてるのか。
そして、毎回、こうして「素直」な反応をしてるのか。
苦しい。
なんだ?
この気持ち。
俺には関係ないはずなのに。