社宅アフェクション

部門だ、学校祭だで浮かれている場合じゃないじゃ～ん!!!!ヤバいよ！自分でいうのもなんだけど、私バカなのに～っ!!


“3年生になれるの!?奇跡だわ！”って、進級するときにお母さんに言われた。“今日は真綾の進級祝いだ！いやぁ、泣けてくるなぁ”ってお父さんに言われた。そんな記憶が……


「う～ん……あぁ……うあぁ……」
「ちょっと後ろ！うるさいから消えて。勝彦くんの前から消えて」
「消えっ……ひどくないっ!?」
「私から勝彦くんを奪っていく真綾のほうがひどいわ！」


あれ？“ちゃん”がなくなった…


「てか、佳乃のほうがうるさいんだけど！私は勉強集中したいの、必死なの！」
「真綾の成績は知ってるわ。バカが今さら足掻いても無駄よ。頭のいい勝彦くんにも不釣り合いだし」
「だから、勝彦に私は興味ないって！いや、(大陸関連では)あるけど…」
「やっぱり!!!!」



ヒソヒソ声のケンカも、朝学習の静かな空間では響くようで……


「てめぇら、うるせぇよ。黙って机に向かうこともできねぇのか」


教室の前ドアに一番近くて、私らから遠い席にいるはずの勝彦の、静かな怒り声が聞こえた。


「「すみません…」」


クラス中の同調する空気にも押され、プリントに向き直した。後ろの席からは、直人の静かな笑い声が聞こえていた。