社宅アフェクション
放課後補習が終わると、俺は真っ先に部室棟へ走った。


「おい本荘!!だからそんなに急がなくてもいいだろ!?待てよ!!」


酒田の言葉は無視する。
俺が向かっているのは、部室は部室でも図書同好会のほう。2人には、この時間に集まるように連絡してある。


部室の前には、しっかりと大陸と目黒の姿があった。慣れてきたのか、大陸には最初の頃のようなおびえた様子はない。安心する反面、少し寂しいような……


「待たせたな」
「大丈夫だよ!勉強おつかれ、かつ兄。野球部は?」
「この話が終わったらいくよ。じゃ、集まった理由を目黒、お前から説明してくれ」


俺は勧めたい話ではない。大陸だって嫌がる話だろうし……


「部長にはお話しましたが、学校祭で、お化け屋敷をやりましょうという話です。毎年の恒例行事なので、いいですか?青葉くん」
「お、お化け屋敷……?」


ほらな、大陸、やっぱり怖がって──


「うん!やろう!」


えっ!?


「いいよね!かつ兄!」
「決まりましたね。それでは企画などは私たちがテスト勉強の合間に考えておきますので、野球部、いってらっしゃい」
「頑張ってね、かつ兄!!」
「あ、お、おう。いってきます……」


どうしたんだ、大陸……
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