社宅アフェクション
家に着いてしばらくした頃、玄関のチャイムが鳴った。


「思ってたより遅ぇじゃねぇか、真綾」


開けた304号室のドアの前には、イラついた顔の真綾がいる。


「人に自分の忘れた弁当袋届けさせておいて、ずいぶんな態度とるじゃん?ここから地面に投げたっていいんだけど?」
「おじさんたちにうまく言いつけた上で、お前に取りにいかせる」
「ちっ!!」


部室に戻ってから、俺はすぐさま、弁当袋を持ってくるようにと真綾にメールをした。“絶対に嫌だ”と返信がきたが、持ってくる確信はあった。そういうやつだからな。


「私がもう学校にいなかったらどうするつもりだったわけ?じゃあ、届けたからね!!」
「お前、勉強頑張ってるみたいだな。バカのくせに」
「当たり前でしょ!!てか、バカだけど、あんたには言われるとムカつく!絶対に吠え面かかせてやるから、楽しみにしてな!!」


そう言い残して、真綾は302号室に戻っていった。俺はドアを閉めた。


「バーカ。勝つのは当然、俺だ。お前になんて、ぜってー負けねぇよ」


大陸は渡さねぇ。
俺は勉強をするため、部屋に戻った。
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