社宅アフェクション
「それではさようなら」
「気をつけてね、さつきちゃん!」
「花巻先輩もお気をつけて」
「名字に先輩なんてかたいよ~!真綾ちゃんとかでいいからさ」
「ま…あや…先輩…」
「もう!かわいいなぁ、さつきちゃん!!」


何を気に入ったのか、真綾は目黒にご執心の様子だ。まぁ、今の後輩たちはベットリくっついてくるタイプばかりだから、初めて母性的なのが目覚めたのか…とりあえずうるさい。


「大陸、行くぞ」
「あや姉は?」
「いないのに気づきゃ、すぐくるだろ」


案の定、数メートル進むと、怒った顔の真綾が追いついてきた。


「ちょっと!暗い道に女の子1人置いてかないでよ!」
「ごめんね、あや姉」
「大陸はいいんだよ?勝彦、あんたに言ってんだけど!?」
「何が女の子だ。十分おばさん顔だぞ」
「はぁ!?見なさいよ、このピッチピチの肌!!」


はぁ、くだらない言い合いだ。…ま、宮崎ほど嫌じゃねぇけど。


「かつ兄とあや姉と3人で帰るなんて、初めてだね!なんか楽しい!」
「真綾いるとケンカにしかならねぇ」
「お互い様でしょ!大陸、明日からも手伝うからね」
「ありがとう!すっごく助かる!それに、一緒に帰れるしね!」
「大陸~っ!!」


真綾が最後に言った、内緒の中身ってこれか?一緒に帰れるってやつ。
でも2人きりにさせないっていうのとかぶるよな…


大陸と真綾の会話に入るタイミングをつかめなかった俺は、帰宅の間、“内緒”の意味について考えていた。
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