社宅アフェクション
俺たちの自宅は横に並んでいるから、玄関に入るその時まで、一緒にいることになる。
だが、俺と真綾の性格は少し似てるらしい。


「また明日ね、大陸」
「じゃあな」
「うん、かつ兄!あや姉!また明日ね!!」


大陸が303号室に入り、鍵をしめるのを確認してから、俺たちは自宅のドアに手をかけた。


「ねぇ、勝彦さん?」
「あ?」


無言で家に入ろうとした俺を、真綾が“さん”づけで呼び止めた。こういう時はたいてい…


「いつも強がっているのに、実は怖いのが苦手なんですってね。聞きましたわ?」


きた、めんどくせぇ話……


「直人の入れ知恵か」
「明日からのお化け屋敷準備、楽しみですわねぇ。ふっふっふ……」
「……内緒ってこのことか」
「あんたのビビリな姿、この携帯にいっぱい収めて、全校に公開してやるわ!!!!」


そう告げると、真綾は笑いながら自宅へと引っこんでいった。


「……バカか、あいつ」


内緒なら、やるまで内緒にしろよ。作戦、バラしてどうすんだ…
知らなくてもなんとかなるが、知った以上、こっちも考えはある。
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