社宅アフェクション
次の日の朝、目覚まし代わりの携帯のアラームをとめ、見るとメールが7件届いていた。


昨日の夜に送った面々からの返信だ。大陸、酒田、佳乃、真綾、直人、目黒、京子……ん?真綾!?


大陸のメールよりも先に真綾のを確認した。


 …………………………………………………
みんなに一斉メールで呼びかけたんだってね。人がたくさんいてビックリしたし。
てかさ、勝彦、メンバーに選ばれたんだって?そういうの、教えてよね!いくら勝負中でもさ…
ま、今は大陸のこと任せなよ!!ちゃんと手伝うから。
勝彦はしっかり集大成決めな(^^)

追伸:大陸、ずっと笑顔だった。やっぱ、みんなに声かけ、ありがとう!!
 …………………………………………………


思ってもいなかった内容だった。文句を言われることがあっても“ありがとう”を言われるなんて──


「俺…何も分かってねぇ……」


真綾は俺に、責めるような言葉を一つも向けなかった。それどころか、俺に応援と感謝の言葉を送ってきた。
それなのに俺は、面倒だとか問題ないだとか…


「“ありがとう”は俺の言葉じゃねぇか……」


つぶやくだけじゃ届かないのは知っている。
でも──


俺は素早く着替えを済ませ、他の返信メールを確認することなく、部屋をあとにした。
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