社宅アフェクション
とうとう始まった。
俺たちは後攻だから、試合開始後、守備のポジションについた。


俺はライト。
どんなボールがこようが、絶対にとってやる。俺のミスで点につなげさせたりはしない。


1回表は、遠野が3者凡退に抑えた。少し離れた場所から見ていても、遠野のフォームは完璧だった。キャッチャーの白石も、相手選手の研究をしつくしただけあって、コース指示がうまい。


すぐにチェンジとなり、いったんベンチに戻る。ふと観客席を見上げると、真綾の姿が目に飛び込んできた。
大勢の観客の中で、なぜ真綾が真っ先に目についたのか、不思議だった。


「一回の裏、藤掛高校の攻撃は、1番 セカンド 天川君。セカンド 天川君。」


先攻だった王嶋学園が守備位置につき、海斗の名前が呼ばれた。


まだ1年生だが、その実力から同学年で唯一選ばれたやつだ。多少緊張した面持ちで、バットを構えている。


相手のピッチャーは川崎正吾。
ヤバいやつだと思った。
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