社宅アフェクション
私は、野球にあまり詳しくない。勝彦が小学生の頃から野球をやっていたけど、同じ頃から私は新体操に熱中していたから、興味なんてもったことがなかった。


中学の時も、勝彦の試合と自分の試合がかぶっていたから、結果しか知らなかった。


だからしっかり見たのは初めてだった。


「かっちゃん、苦戦してるなぁ」
「でもでも！守ってるし打ってるし！」
「だけどさ、点につながらないよな。遠野
も疲れてきてるし…」
「敵の川崎ってやつ？あいつムカつくんだけど!!ことごとく勝彦くんの邪魔して!!」
「正ちゃんは強いよ？昔っから」
「何？会津、知り合いなわけ？」
「まぁ、いとこってやつ？」
「「はぁ？」」


直人、佳乃、京子の3人は、試合を見ながら会話を続ける。
私は話を聞き流しながら、試合観戦に没頭していた。


ルールはよく分からない。でも興奮する。
目の前で繰り広げられている戦いが、すごいことだけはよく分かる。



どっちも点が入らないまま、5回の戦いが終わった。次は6回目だ。


遠野くんが投げる。2つめが打たれた。その次の人も、遠野くんのボールを打った。グラウンドには、2人の敵が混ざっている状態だ。


そして3人目。遠野くんは、4回、ボールを投げた。そしたら敵は、バットも振らず、打ってもないのに1塁に走っていった。
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