社宅アフェクション
「キャーッ!!!!勝彦く~んっ!!!!」
「かっちゃん強ぇ~っ!!」
他の観客のように佳乃と直人も歓声をあげた。裏腹に、京子は審判の動きを黙って見つめている。
グラウンド上の動きが急に騒がしくなった。
「なぁ、本荘のやつ……」
京子が言いかけた時、アナウンスがなった。
「お客様にお願いいたします。藤掛高校の本荘君、手当てをいたしますから、しばらくお待ちくださいませ」
試合はいったん中断された。
藤掛高校のスタンドはざわつきだした。見ると勝彦のお父さんが、不安げな顔で席を離れた。
「えっ、どういうこと……勝彦くん、ケガしたの!?ねぇ、大丈夫なの!?京子!!」
「落ち着け、かの子。そりゃあバックスタンドに激突したんだ。送球したことがすごいよ。でも歩けてたし、大丈夫だ……」
京子の言い方は、自分にも言い聞かせているようだった。直人は黙っている。
「でも!手とか肩とか!一生治らないケガだったら……っ」
「落ち着けって!」
泣きそうになっている佳乃と叱咤する京子。そんな中、私は複雑だった。まだ高揚感が残っていて、でも冷静でいられて──
勝彦は意地っ張りで強気でいつも主語は自分。
だから、止められたって絶対に戻ってくる。チームのため、とかじゃなくて自分のため。
あいつは私たちを甲子園に連れて行くと宣言した。だから戻ってくる。
「かっちゃん強ぇ~っ!!」
他の観客のように佳乃と直人も歓声をあげた。裏腹に、京子は審判の動きを黙って見つめている。
グラウンド上の動きが急に騒がしくなった。
「なぁ、本荘のやつ……」
京子が言いかけた時、アナウンスがなった。
「お客様にお願いいたします。藤掛高校の本荘君、手当てをいたしますから、しばらくお待ちくださいませ」
試合はいったん中断された。
藤掛高校のスタンドはざわつきだした。見ると勝彦のお父さんが、不安げな顔で席を離れた。
「えっ、どういうこと……勝彦くん、ケガしたの!?ねぇ、大丈夫なの!?京子!!」
「落ち着け、かの子。そりゃあバックスタンドに激突したんだ。送球したことがすごいよ。でも歩けてたし、大丈夫だ……」
京子の言い方は、自分にも言い聞かせているようだった。直人は黙っている。
「でも!手とか肩とか!一生治らないケガだったら……っ」
「落ち着けって!」
泣きそうになっている佳乃と叱咤する京子。そんな中、私は複雑だった。まだ高揚感が残っていて、でも冷静でいられて──
勝彦は意地っ張りで強気でいつも主語は自分。
だから、止められたって絶対に戻ってくる。チームのため、とかじゃなくて自分のため。
あいつは私たちを甲子園に連れて行くと宣言した。だから戻ってくる。