社宅アフェクション
それからどれくらいたったか…


「お待たせいたしました。これより藤掛高校 対 王嶋学園の試合を再開いたします」


再び流れたアナウンスと同時に、藤掛高校の選手たちが守る位置に走っていった。
ライトの位置には───勝彦がいた。


「本荘、戻ってきてるぞ!あいつ……」
「勝彦くん!!だ、大丈夫なの?本当に出ていて平気なの?」


横では3人が心配そうな眼差しでグラウンドを見つめていた。
いつの間にか、勝彦のお父さんも席に戻っていた。その顔は、不安がにじみ出ていた。
藤掛高校側のスタンドも少しどよめいていた。


「かっちゃん、次ボール飛んできたらヤバいんじゃ…」


京子も佳乃も直人もおじさんも、どうしてみんなは……っ!


「信じて応援するしかないじゃん」


3人が、つぶやいた私を一斉に見た。


「私ら、昨日の帰りに言ったじゃん。最後まで見てるからって。そしたら勝彦は、試合前に文章で伝えてきた。いつでも全力だって。だったら私たちにできんのはさ、勝彦を信じて、最後まで応援することでしょ」


しばらく沈黙があった。3人とも何を考え──
佳乃に背中をはたかれた。


「えらそうなこと言わないでよね!真綾のくせに!私はいつでも勝彦くんを信じてるっ!!」
「だよな。普段は嫌いだけど、しゃーないから今日は信じて見ててやんないとな」


佳乃の言葉に、京子も続いた。
直人は私に微笑みかけながら言った。


「かっちゃんもだけどさ、ハニーも変わったよね、最近」
「えっ……」
「さぁ!!かっちゃん頑張れよーっ!!!!」


私も……変わった……?


私は違和感を覚えながら、さっきまでとは違う表情でグラウンドに声援を送る3人を見つめていた。
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