社宅アフェクション
試合は六回の表、王嶋学園の攻撃からの再開。2アウト3塁の状態だ。


この回は、ピッチャー遠野くんが5番バッターを3球で押さえ込み、追加点を与えることなく終わった。


その後、試合は六回裏、七回、八回とつづいたが、また両チームとも点が入らなかった。
そして1ー0で、九回を迎えた。


「この回で王嶋学園に追加点決められたら、かっちゃんたち苦しいぞ…」
「勝彦く~んっ!!絶対守りきって~っ!!!!」


藤掛高校の攻撃は裏だからまだチャンスはあるといっても、やっぱり1点と2点じゃ重みが違うと思う。
でも心配はいらないと思う。だって……


「勝彦たちの気迫、すごいね。絶対に守りきるっていう感じがここにまで伝わってくる…」
「あぁ。ここまで選手の交代もなくて疲れきってるはずなのにな」


京子も真剣な顔で答えた。
そして、審判が開始の合図を告げた。


クリーンナップは八回の時点で遠野くんが抑えきり、相手チームの打順は8番から。


「遠野!!打たせていこーぜっ!!」
「遠野!俺がさっきみたいなファインプレーしてやるからな!!」
「ぜってーとるから安心して投げろ!!」


そんな守備選手たちの声が聞こえる中、どこか安心したような顔の遠野くんの、渾身の一球が放たれた。


そして───

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