社宅アフェクション

家に着くと、ドアを開けなくても中がにぎやかなのが分かった。子供の声もする。
私、兄弟姉妹いないよねぇ……


「なんだ？お前んち、なんかうるせ──」
「ぶふっ………」
「おい、真綾！」


いきなりドアが開いて、中の様子を聞いてみようと近づけていた私の顔面にクリティカルヒットした。


「あ～っ!!真綾お姉ちゃん帰ってきたぁ!!」
「勝彦お兄ちゃんと一緒だぁ!!」
「2人は仲良しなのぉ？」
「なのぉ？」


私が仰向けに倒れていることは気にも留めていない様子で話しているのは双子の女の子、蘭と凛。私のいとこです……


「真綾ちゃん帰ってきたの？おかえり……って……真綾ちゃん!?大丈夫!?」


お父さんの妹、つまり私のおばさんである美里さんが抱き起こしてくれた。
そういえば昨日、明日いとこちゃんたちがくるからねって言ってたなぁ、お母さん。


「お、俺はこれで失礼し──」
「勝彦くん!!倒れている女の子を放置して帰るつもり？男の子なら中まで運ぶとかしなさいよ!!」
「あ…はい！す、すみません……」


勝彦はこの美里さんが苦手だ。今6歳の双子ちゃんが生まれるずっ～と前から社宅によくきていて、私たちと遊んでくれていた。リーダー的存在だったこの人には、勝彦もかなわない。


「わ、私は大丈夫だよ、美里さん！慣れてるし、もう平気！」
「ならいいけど…ほら蘭、凛！謝りな!!」
「「ごめんなさぁい……」」


しゅんとしてしまった2人の頭をなで、いいよと声をかけると、急に元気を取り戻した双子は家の中へ走っていった。