社宅アフェクション
「ほんとごめんね、真綾ちゃん」
「ううん。平気平気」
「そうそう。こいつ、顔の皮は厚いから」
「勝彦くん?女の子にそういうこと言うと─」
「ご、ごめんなさい…」


勝彦の小声にも反応する美里さん。さすが……


「2人とも学校祭の準備でこの時間?」
「まぁ、そんなところ。勝彦は私を待ってたみたいだけど?」
「違っ…」
「へぇ~?勝彦く~ん?」
「べ、別に待ってねぇって!!偶然だっ!!」
「素直じゃないぞぉ?」
「やめっ……」


さんざん勝彦をからかい倒して、美里さんは満足そうな顔になった。


「はぁ~あ!そんじゃ勝彦くん。学校祭楽しみにしてるから準備頑張んなよ!」
「今年も来んのかよ…」
「なに?」
「さよならっ!!」


勝彦は慌てて自分の家に駆け込んでいった。それを見て、私と美里さんは笑った。


「なぁんだ。勝彦くん、元気じゃん」
「え?」
「試合、負けたって聞いてたからもっと落ち込んでると思ってたよ」
「私も驚いてんだよね。何かあったのかな?」


その私の言葉に美里さんは、玄関でサンダルを脱ぎながらニヤッと私を見た。


「あんたたちのおかげかもね」
「……私たち?何もしてないよ?メールくらいで…。返信もなかったし……」
「存在よ、存在!さ、早く中入って夕飯にしよう!」


私たちの存在が勝彦を元気にしたってこと?だとしたら……



嬉しいかも。
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