社宅アフェクション
警備員に半ば終われる感じで学校を出た俺たちは、佳乃と目黒を車まで見送ったあと(真綾は謝ってたな…)、帰路についた。


家に着き、遅い夕飯を食べ、風呂から上がった頃には11時を回っていた。
まだ間に合うな─── 俺はベランダに出た。


10分ほどたった時だった。


「ふ~っ!!風気持ちぃ~!!」


隣の隣のベランダから、盛大な声がした。


「近所迷惑だ。ボリューム下げろ」
「なっ!か、勝彦!?」
「だからうるせぇって」


俺は携帯をいじりながら、真綾の顔を見ずに言い放った。


「私はお風呂上がりにベランダで風に当たるのが日課なんだって!!」
「ふーん。冬も続けろよ?日課なんだから。風で風邪ひけ」
「…シャレのつもり?面白くないんだけど」
「うっせ」


いや、こんなくだらない会話をするために俺はここでバカを待ってたわけじゃない。用件はアレだ。携帯をポケットに押し込み、前を見た。


「明日の学校祭初日……」
「ん?」
「大陸もらうぞ」
「……何言ってんの!?勝彦に大陸渡すわけない
でしょ!?」


こいつ、都合の悪いことは忘れるタイプだったな。
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