社宅アフェクション
「かつ兄、ケガしてない?頭とか……」
「平気だけど……なんでいるんだ?大陸」


俺より早い時間だなんて。それに、いつも蒼空や真綾と登校しているはずだ。


「初めての学校祭だから、楽しみと緊張で早く起きちゃって、そら姉に言って先に来たんだ。でも教室にいてもやることなくて…」
「それでここ、か。俺もそんな感じだな」
「かつ兄も楽しみなんだ!!」
「ま、まぁな」


俺がそんな感じと言ったのは教室のくだりのほうだが……大陸だからいい。
それにしても、大陸と2人になるのは久しぶりだな。あっ、そうだ。


「大陸!今日、俺と学校祭まわらないか?」
「かつ兄と?」
「…嫌か?」
「ううん!それは嬉しいんだ…けど……」


大陸は言葉を濁す。


「僕、忙しくて空いてる時間が少ししか…だから一緒にまわれるのは…」


そういって、大陸は一枚のルーズリーフを出した。2日間のスケジュールが書いてある。


「午前中は部門で、お昼あって、午後はクラスの縁日なんだ」
「何分くらいなんだ?昼休憩は」
「え~と、11時半から12時45分まで…」
「俺は11時40分から1時までだから、かぶってるな。その時間、俺にくれ」


念のために聞いたが、大陸の休憩時間など把握済みだ。そこに合うように、自分の休憩を調整したんだからな。


「うん!じゃあ1時間ちょっとのデートだね!!」
「デっ…」


デ、デートだと!?大陸はこの言葉を無意識に使ったのか!?冗談なのか!?そ、それとも───
にこにこ笑顔の大陸に、あざとさは感じないけど……


「お化け屋敷、いっぱい来てくれるかな」
「あぁ、みんなで頑張ったんだ。絶対来る」
「うん!そうだね!!」


お化け屋敷という異空間の中で、俺たちはゆったりと時間を過ごしていた。

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