社宅アフェクション
体育館の前にはすごい行列ができていた。
開祭式まであと10分程度。並ばなくても入れんのに──


「やっときた!勝彦!直人!こっちこっち!!」
「勝彦く~ん!!一緒に見よ~っ!!」
「かつ兄!!なおちゃん!!始まっちゃうよ!」


いた。わざわざ並んでるやつらが。大陸とは部室で別れてからそんなに時間はたってないから
ついさっき真綾たちと合流したんだろうが……


「いつから並んでんだよ。先頭って…そもそも並ばなくても入れんだろ?」
「分かってねぇな、本荘。いい場所で開祭を見るための先頭だろ?感謝しろよ?私ら、7時半から並んでるんだ」
「7時半!?その時間はまだ家で寝てたよ!すごい気合い入ってんね……」


直人が驚くのも分かる。もう1時間以上ここにいることになるんだからな。直人は並んでいるメンバーを見渡しながら首をかしげた。


「そういえば、ゆかりんとさつきちゃんは?」
「さつきちゃんはクラスのお友達と一緒」
「目黒に友達いたのか」
「勝彦よりはいると思うけどぉ?」
「う…うるせぇ……」
「勝彦くんは友達100人いるわよ!!」


いや、そんなにいねぇけど…。


「由香里は開祭部門員だから、この中で作業中です」
「ゆか子、装飾じゃなかったのか」
「真綾お姉さまのためなら、自分のことなんてどうでもいいって言ってました」


すげぇ自己犠牲精神だな。


「そういや、酒田はどうした」
「しゅた?連絡きてないけど……遅刻かな。人が密集する開祭は苦手だって言ってたし」
「そうか」


そんなことを話しているうちに、体育館の扉が開いた。
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