社宅アフェクション
さっきの3名が悲鳴とともに飛びだしてきてから少しして、直人が叫びながら出てきた。
並んでいる人たちは、“あんなやつ入っていったっけ?”と頭にハテナがついている。
そんなことに気づいていない直人──


「あぁ怖かった!声が枯れちゃうよ!」


なんて、のんきに言っている。


「それじゃ真綾、交代ね。午後から喫茶、しっかりやってよ?失敗したら許さない」
「う…はいはい。佳乃も、よろしくね」
「佳乃ちゃん、よろ~!!」
「早く行って。邪魔」


勝彦の前では見せないような態度で、私たちは追い払われた。
さて、これから喫茶の時間まで何しよっかな?


「ねぇハニー。もし良かったら一緒にまわろうよ!俺もシフト午後からだし」
「そっか、時間一緒なんだ!じゃあ、一緒に行こっか!!」


良かった!ひとりより断然楽しい。
来たときのように、直人と一緒にお化け屋敷を後にした。

           :
           :

「あ~ん、大陸いないじゃ~ん!!休憩入っちゃったのかなぁ」


大陸に会おうと真っ先に1年C組の縁日に遊びにかたのに、そこに大陸の姿はなかった。


「へぇ~、俺たちのクラスがジャンケン負けて取られた縁日、すっごい楽しそう!ハニー、射的やろうよ、射的!!」
「ちょっと、直人!大陸が…」
「かっちゃんのお金使っちゃお。射的2回!!」


話も聞かず、私の手を引いて射的コーナーの前まできた直人は、200円を払い、銃という名の割りばしの作り物を構えた。
意外にも上手で、お菓子を次々落としていく。見ていただけの私も興奮してしまって、その勢いで、ヨーヨー釣り、くじ引き、型抜きと、2人で縁日を制覇していった。
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