社宅アフェクション
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体育館裏から約10分、俺は図書同好会の部室前にいた。
お化け屋敷も十分繁盛していて、入り口では京子がイラついたような顔をしていた。


「きょ……」
「遅いっ!!本荘てめぇどこにいやがった!?こっちの担当時間とっくに過ぎてんだよ!!酒田は中でスタンバってる!!てめぇも早く入り口の整備につけっ!!!!」


女とは思えない口調と剣幕で迫ってくる京子の姿に、俺のココロはようやく戻ってきたようだった。


「おい。中に酒田いんの、大声で言っちゃマズいだろ」
「そんなことより謝れよ!!」
「落ちついて、京子!!お化けよりも怖い顔になってるから!!酒田くんに申し訳ないから!!」


ネタバレしまくってる2人にとりあえず謝り、休憩にしてもらった。


今、中では酒田が頑張っているらしい。
怖くはないが暗いところが苦手な酒田にとって苦痛だろうな。


ただなぜだろうか。
客はおびえた様子で入っていくのに、出てくるときは悲鳴もなく、むしろ笑っている。


そのうち、いろいろと耐えきれなくなった酒田が出てくるんじゃないか?


俺も今、いろいろと耐えきれない思いになっている。
なんだか自分が分からない。あんなモヤモヤした気持ちは感じたことがなかった。
その意味を知りたいが、解決してくれそうな誰かを知らない。


「あの…もう入ってもいいですか?前のお客さん、出てきたんですけど……」
「え…あ、あぁ、ようこそ、恐怖の世界へ」


だめだ。今は集中しよう。
俺は、受付に徹した。
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