社宅アフェクション

「ただいま～！」


お茶を出していると、父さんの声が聞こえた。
俺は玄関に向かう。


「おかえり。お客さん来てるけど」
「おぉ、そうか。勝彦に言い忘れてたな。今日来るって言ってたんだ。お前のおじい…」
「父さん、会社の人来んなら昨日のうちに言えよな。急だと俺だって驚くし」


一瞬、父さんの顔が強張った気がした。
気のせい……か？


「俺ちょっと出てくるから、父さんはゆっくり話してなよ」
「おい、勝彦」
「いってくる」


俺は飛び出すように外に出た。なぜだか、あの男のそばにいたくなかった。
父さんの呼び止める声も無視して、行くあてもなく、エレベーターに乗った。




タイミングよく下にいくエレベーターが来ていてよかった。
俺は１人、ため息をつい──


「変な人が乗ってきたよ？」
「変な人乗ってきたぁ！怖いね」
「怖いねぇ」


聞き覚えのある……


「どうしたの？勝彦。慌ててるみたいだけど」
「お前らっ……」


無人だと思っていたエレベーターには先客がいた。蘭と凛と……真綾───