社宅アフェクション
ステージそででは、蒼空と由香里が私を待っていてくれた。


「お姉さま、おつかれさまです!」
「素晴らしい演技でした!さすが先輩!」
「ありがと。2人のおかげかな」
「そんなことないですよ~」
「先輩ったら!も~」


すごく嬉しそうな2人の様子に、私の気持ちも高まりそうになる。でもそれを抑えこんでしまうのが、直人のあの顔。初めてみた顔だった。


演技が上手くいったことも、大陸や美里さんたちが来てくれたことも、すごく嬉しいことなのに、最後に映ったあの表情が切なくて……


「先輩?どうかしたんですか?」
「真綾お姉さま?ボーッとしてますけど……」


私をのぞきこむ2人の声に、ハッとする。


「あ、ごめん…大丈夫だから」
「ん~まぁ、顔色もよさそうだし……」
「じゃあ先輩!!午後から私たちと一緒に遊びませんか!?」


2人ともあからさまにウキウキしている。どんな手を使ったんだか、午後いっぱい休みをもらったみたい。
私も午後は休みだし……


「午後は私も暇……いっ!!」


その時、頭に軽い電流が走……るわけはないんだけど、そんな感じがした。
いったい何が……………あっ


「13時20分……裏校門前………」


忘れたくても忘れられないシフトが、私にはあったんだ。
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