社宅アフェクション
そこまで思い返し、私は自分の部屋を出て、キッチンに向かった。


冷蔵庫を開けると、何本か缶ジュースが入っていた。冷えたリンゴジュースを取り、リビングに移動しながら一気に飲み干した。


「ふぅ………おいし……」


誰もいなかったリビングは暑くて、冷たいジュースが体の中を駆け巡っていくのが分かる。
ジュースみたいに簡単に分かればいいのに。自分のことも、みんなのことも。


直人は、ふっと笑ったあと、私に聞いた。“どうして俺のことを分かりたいって思ったの？”って。“それは期待しちゃってもいいってことかな”って。


私はただ、初めて直人のホントの気持ちを聞いてから、ずっと一緒にいたはずの、大切な仲間のことさえも知っていなかった自分が情けなくって………
だから少しでも自分から知っていこうって……ホントの仲間になりたいって……


「………好きって何？」


どうなったら“好き”ってことなの？その人を知りたいって思ったら？胸がドキッてしたら？その人の顔が頭から離れなかったら？


本当の自分と本当のその人で向き合えたら、その時の気持ちが答えなのかな……
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