社宅アフェクション
人間、いや私は、悩みなどなどがあってもぐっすり眠れるわけで……


「あ~すっきりした」


朝は気持ちよく目覚めた。今日も学校は休み。部活も。
リビングに行くと、約1日ぶりの両親の姿があった。


「おはよ」
「おう、おはよう真綾」
「ちょっと、真綾!夕飯食べなかったの?お父さん、2つ食べちゃったわよ?それにお風呂、入ってないでしょ。留守電いれた時、あんたどこにいたのよ」


のんびりお父さんと朝から質問攻めお母さん。まぁ、予想はできたけど。


「昨日は――」
「どうせお隣さんのところでしょうけど。夕飯もごちそうになったんでしょ!遊び疲れてお風呂も入らないで寝るなんて、まだまだ子供ね」
「あ……うん」


勝手な予想で自己完結し、満足しているお母さん。全然違うけど、いいや。
すでに用意されている朝ごはんを食べた。


昨日は遅くまで働いてたのに、今日もいつも通りの時間に両親は出ていった。


忙しいのもあると思うけど、あまり昨日のことを詮索されなかったのはよかった。
今日は何も考えない。しない。ただ時間が過ぎていくことに身を任せよう。


そういえば、昨日コンビニから出たとこで直人と会って、なんとなく逃げてきちゃったけど……今は忘れよう。


朝ごはんの食器を片付けて、部屋に戻った。
すぐにベッドにもぐりこむ。


「寝ちゃえばいいんだ」


そうすれば、目覚めたときには全て終わっている、そんな気がする。
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