社宅アフェクション
まさか、勝彦が大陸のこと好きだったなんてなぁ。兄弟的な好きかと思って、わざと録音したり勝負挑んだりして反応みたけど…


「恋愛対象としての好き、かぁ…」
「え、真綾お姉さま!私のこと、そんな風に思って……嬉しいです!!」
「うわ、違うから!抱きつくなぁ!!」


部活は遅刻、副部長としての自覚を持ちなさいと少し怒られたけど、それ以外は何事もなく部活は終わった。


同じ部活の後輩、青葉蒼空との帰り道、いつもいるはずの右隣に目をやる。


「珍しいですよね、りっちゃんが先に帰ってるなんて。いつも図書室で私たちのこと待ってるのに」
「そうだね」


私は理由を知っている。大陸は今日から部活だから。でも私から言えないしなぁ。だって、私たちには内緒みたいだし。


「“今日は用事があるから、先に帰っててね”って、何の用事かもメールに残してほしいですよねぇ」
「そうだね」


多分、勝彦と一緒に帰るんだろうな。ううん、確実に。私、大陸と2人きりになったことってあるかなぁ。かならず蒼空がいる気が…


「お姉さま、いつもかわいいですね」
「そうだね」
「真綾お姉さまっ!!私の話、全然聞いてないでしょ!!」


社宅が見えてきた頃、とうとう蒼空に大声を出された。
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