社宅アフェクション
“でも──”その言葉の続きが出てくる前に、ベランダに別の人物が出てきた。


「お、大陸か。蒼空、なんか言ってたか?」
「あ、かつ兄……」
「ちょっと勝彦!!せっかくの2人きり相談所の邪魔しないでくれる!?」


304号室のベランダに出てきたのは本庄勝彦。
数少ない2人チャンスなのに!!


「部活で遅くなっちまったから、姉さんになんか言われて、ベランダに逃げてんじゃねぇかと思ったんだよ」
「私の方が先に気づいたもんねー!!そんで話してたんだから!」
「どうせ風呂上がりの偶然だろ?」
「うるさいなーっ!!」


私たちの口ゲンカの間で、相談者が笑った。


「あや姉もかつ兄も、僕のこと、すごく分かってくれているんだね」


なんだか照れくさくて、嬉しくなった。


「そうだよ。だって、私は大陸のこと───」

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夜はふけていった。
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