社宅アフェクション
「みなさんに白い紙を配ります。やりたい部門を書いてください。回収後、私たち委員が集計し、明日結果をお知らせします。人数に合わなかった場合は、明日、ジャンケンによって決定します」


回りくどい決め方だな。
とりあえず、渡された紙に、はっきり“装飾部門”と書いた。




掃除を終えて部室棟に向かっていると、後ろから酒田の声が聞こえた。


「おい、本荘!ちょっとくらい待てよ!」
「今日は放課後補習もない。俺は早く部活に行きたいんだ」
「一緒に行く時間くらいあんだろうが!」
「知るか」


早歩きの俺に追いついた酒田は、さほど息はきれてなかった。


「体力はあんだな」
「当たり前だろ?ダテに野球やってねぇよ。それよか本荘。部門何にした?俺も初めてだからさぁ、無難に食堂部門にしたけど」
「装飾部門」
「……本荘が飾りつけ?あっはっはっは!!!!似合わねぇだろ、ウケるぞ、それ!!」


笑い続ける酒田を無視し、たどり着いた部室のドアを1人でくぐり、酒田の目の前で閉めた。
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