臆病者の散歩道
臆 病 者 の 散 歩 道


「ちっ……。」

何だって俺が図書室掃除なんて。

国語の時間。
あまりにも眠たくて寝ていた所を見事当てられた。
いつもならセーフなのに…。

「だり。」

ガラッ。

「「わ!」」
「え?」

俺が驚くのと、中に居た人が驚いたのは同時だった。

中には何やら困り顔の幼馴染。
…と彼女と同じクラスの委員長。
確かツツミ…とかって女子が騒いでた気がする。

「じゃ、ユズ、考えといて。」

「あ…。」

ツツミはユズにそう伝えて俺を見ながら図書室を出た。

(気のせいじゃなければ軽く睨まれた…。)

「??なんだアイツ。」

「うん…。」

歯切りの悪い返事。

「何かあったのか?」

ユズにしては珍しい。
彼女は割とサバサバ答える奴だったはず。

「ううん。なんでもない。」

それじゃ。と作った笑いでユズも出て行った。


< 1 / 26 >

この作品をシェア

pagetop