臆病者の散歩道
天体観測
「星、見に行こうぜ。」
今日は星月夜。
告るなら今日しかない。
今まで言うつもりもなかったけど…
いい加減に逃げるのを辞めた。
切っ掛けは些細な事。
今日授業中に寝てなければ…
先生に怒られて図書室掃除をしなければ…
あんな所見ていなければ…
「急にどうしたの?」
急な俺の提案に柚は首を傾げた。
「いつもなら窓だって開けないじゃない。」
俺らの家は隣同士。
親が仲良くて家も一緒に建てたから、俺らの部屋の窓の位置はちょうど向い合せだった。
昔は、よく、そこから出たり入ったり。
怒られもした。
「あ、彼女さんと何かあった?」
「別に。どうせ暇だろ。見に行こうぜ。」
だいたい、なんで言ってもない事まで知ってんだ?
これだから嫌なんだ。
親も仲がいい幼馴染は…。
「…わかった。」
柚は何も話さない俺に不服そうに頷く。
コイツは昔から俺の誘いは断らない。
「じゃ、5分後な。」
「え?ちょっと…!」
なんだか文句を言う柚を余所に、窓を閉め、支度を始めた。