臆病者の散歩道


幼馴染なんて損だな…。
本当なら言えるはずの一言も怖くて言えない。

そもそも幼馴染じゃなければ、この感情は持っていないかもしれない。
出逢わずに終わっていたかもしれない。

だけど。

それはないだろう、と言える。
それくらい大切。

もちろん彼女には言えないけど。

気持ちを言うか言わないか。
もちろん…

言えない!!

臆病者はどうやっても臆病者。
情けないけど、失えない。

もしもこれが幼馴染じゃなければ言えたのかもしれない。

幼馴染はどんな結果になっても明日も明後日も会うしかないし。
会いたくなくったって顔を合わすんだ。

「はぁ……。」

「何よその溜息!」

こんな俺の気も知らずだんだんイライラし始める柚。
怒りだしたりすると顔まで赤くなる。
そこも可愛い。

だからモテるんだよな…。
柚は知らないんだろうけど。


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