ギャップ彼女 2
「お願い、眼鏡貸して?」


―――――慎士くんだったんだ。


慎士くんは、「めがね」と書かれた紙を私に見せながらお願いしてきた。どうやら、慎士くんも借り物競争に出ているらしい。


『…あ、うん』



私は、あまり深く考えずに眼鏡を外し、慎士くんに『はい』と渡した。


すると、みるみるうちに赤くなった彼。



「あ、ありがとう」

『いいよー。頑張ってね?』

「…おぅ」



なぜか視線を彷徨わせている慎士くんは、赤い顔のまま走り去っていく。




急にどうしたんだろう。
不思議に思っていると、伊吹が心配そうな表情で近づいてきた。




「リン、あいつの前で眼鏡外して大丈夫だった?」

『…あ…』



そこで初めて自分の失態に気づいた。



「はぁ」と、溜息をこぼす伊吹に、私は「やらかしちゃった…」と苦笑いを浮かべる事しかできなかった。
< 160 / 479 >

この作品をシェア

pagetop