ギャップ彼女 2


『蓮…ありがとう』



私は嬉しくて、蓮の腰あたりに手を回しギュッと抱きしめた。



蓮の気持ちが、嬉しいんだ。
私なんかを捜しにきてくれて。




ありがとう!




それに、いつまでもここでメソメソしてたって何も変わらない。



大事な時間は、こうしている間にも過ぎていくんだ。



自分の失敗だ。
自分でケジメをつけないと。





『…私、戻るよ。ありがとう』



蓮の胸板にそっと手を添えて体を引き離そうとしたところ、蓮がまだ逃がさないと言わんばかりに、ギュッと抱きしめてきたんだ。




「辛かったら、俺のところへこいって言ったよな?……なんで来ねぇんだよ。」




私を抱きしめ、首筋に顔を埋めた蓮からの消え入るような声。





『…れ…ん…?』






…急に、どうしたのだろうか?




一呼吸おいた後、蓮は口を開いた。
< 320 / 479 >

この作品をシェア

pagetop