ギャップ彼女 2
すると、隣の悠斗を見ながら「…ゆうくん」と呟いたリン。
もしかして…
記憶が戻ったのか?
じゃぁ、悠斗との約束もか?
俺は驚きのあまり、しばらく動けないでいた。
俺は、知っている。
リンと悠斗の約束を…。
そう…俺は、あの時見てしまったんだ。
リンと悠斗が約束している現場を…その当時、相当ショックを受けたのも覚えている。
『リン』
まぁ、小さい頃の約束なんて時効だ。俺がリンの傍にずっといる。ただそれだけだ。
それよりも、目を覚ましてくれた事に本気で安心した。
もう、あの時みたいな思いをするのは嫌だ。
「か、なで?」
『良かった…。本当に…』
ホッとした瞬間涙がでそうになり、必死に堪えた。
『俺、もう一回リンの家に電話かけてくる。ついでに先生にも目を覚ましたこと言ってくる』
「奏…ありがとう。それと、ごめんね…せっかくの花火だったのに…迷惑かけてごめんね…」
『んな事気にすんな。花火は、また来年見に行こうぜ』
「うん!」
リンが即答してくれた事に嬉しさがこみ上げ、頬が緩んだ。
チッと舌打ちが聞こえたが、俺は気にせず病室を後にした。
~奏 side end~