ギャップ彼女 2
「花那月さんて……あの事件の記憶ないんですってね」
『……っ』
俺が目を見開き驚いていると、怜奈は満足そうに顔をほころばせた。
一呼吸おいた後、怜奈は続けた。
「花那月さん、ショックだったでしょうね…あんな形でお父様を亡くしてしまうなんて…」
こいつ、やはり調べてやがった…
ドクドクと自分の心臓の音が、いやに大きく耳に飛び込んでくる。
俺は、平静を装い怜奈を見据えた。
『…何が言いたい?』
「ふふふ。もし花那月さんに、あの事件の事を教えてあげたら、彼女喜ぶかしら?」
『……っ!』
俺は怜奈の言葉に息を呑む事しかできない。
だって怜奈なら本当にやりかねないんだ。
俺に直接この話を持ちかけてくるという事は…
俺は今、脅されている。
それはもう、確実に。