極上な恋のその先を。

伏し目がちに、あたしを見つめセンパイ。
昼間のセンパイが嘘みたいに、その瞳の中は熱情でいっぱいだ。


ドクン
ドクン


センパイの匂い。
ずっと、ずっとこうしてほしかった。

ずっと、求めていたその腕のぬくもりに理性が揺らぐ。


たまらずその腕に手を伸ばした。



「はあ……今すぐ抱きてぇ」

「センパ……」



その唇が、やっと落ちてきた。





……と思った、その瞬間だった。




―――バタ――ン!




「久遠センパイ!渚さーーん!」




いきなりオフィスの扉が勢いよく開いて、真山くんが飛び込んできた。





「!!!」



ギョッとして、慌てて久遠センパイの胸を押しやる。
ちょうど死角になっていて、まだ真山くんにはあたし達の姿は見えていない。



ひゃあああ!



ビクビクしていると、すぐそばで小さなため息が。




「……お前な」

「だ、だってあの、」



両手を壁についたまま、センパイはジト目で睨み、真っ赤になったまま俯いたあたしに小さくため息を零すと、ポンとその手を頭に乗せた。




え?




< 11 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop