極上な恋のその先を。


瞬間、ビクリと固まる華奢な肩。
いとも簡単に、すっぽりと腕の中におさまった。



この反応、変わってねーな……。

今更俺に緊張してんの?
って、それは俺もか。

胸の中がジワリと熱くなるのを感じて、思わず喉の奥で笑う。



「あ、あの……センパイ?」


すげぇドキドキしてんな。

渚?それとも俺か……?


「お前、可愛いな」

「へ?」


きょとんと目を見張る渚の頬に手を添える。
撫でるように滑らせて、そのままクイッと上を向かせた。

息を呑んだその瞳が、ジワリジワリと潤んでいく。

頬は桜の花びらのように染まり、その艶やかな唇がまるで俺を誘ってるようだ。


水辺を走り、風がふたりの間をすり抜ける。

ささやかな風で、小さな花べんがヒラヒラと舞い落ちた。



「このまま抜けるか」

「……え、」


何かを言いかけたその唇を、ペロリと舐めとった。

ゆっくりと距離をとり、目を見開いたままの渚を覗き込む。


なんつー顔。

自然と口元が緩んだ。


「な、な、な……」


その顔はもう真っ赤。
いや、ゆでだこだ。


「っはは。変な顔」

「! な、だっ、センパイのせいです!」

「俺の?」


たまらずに吹き出すと、必死になって言い訳を口にした。
そんな渚の髪に指を通しながら首を傾げれば、途端に言いよどむ。


ほんと。 可愛いヤツだな。



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