極上な恋のその先を。
いつか真山が言ってたっけ。
レッサーパンダみたいだって。
なんつーか、反応が小動物みたいなんだよなぁ。
「イジワルなとこは、全然変わってないんですね。パリに行ってちょっとは優しくなってるのかと思いましたよ」
ジト目で俺を睨んだ渚は、そう言って唇を尖らせた。
……。
甘い香りが鼻をかすめる。
桜……、いや違う。
これは、コイツの匂い。
髪から、首筋から、鎖骨から、甘い蜜のような香りがする。
俺を、誘ってる。
「……」
こんなふうに俺を誘惑するなんて、ほんとお前はこえー女だな。
昔からそうだ。
渚からは、そんな香りがして。
衝動的に、手を出してしまいそうになる。
それを抑えるのは、結構大変だった。
「センパイ?」
ぼんやりとそんな事を考えていると、不思議そうな渚が覗き込むように俺を見た。
ふわりと、香りが強くなる。
「大丈夫ですか?」
「……大丈夫じゃねぇよ。お前、責任とれ」
「え?」
首を傾げた渚の耳元で囁くように言うと、噛み付くように口づけた。
「んんっ……」
抵抗する隙を与えないように、深く角度を変えて。
必死に腕にしがみつく渚の体を掻き抱いた。
そのぬくもりに、抑えきれない何かが沸き起こる。
このまま、抱きてぇな……。
そっと渚の背中を撫で上げれば、ビクリと反応する。
必死にキスに応えながらも、その手は小さく抵抗していた。