極上な恋のその先を。
「んじゃ、移動すっか」
「へ?」
「外じゃなきゃいいんだろ?」
不意に距離をとったセンパイに、今度は腕を引かれて歩き出す。
強い力にバランスを崩しながら茫然とその背中を見上げて、ハッと我に返る。
「それもダメです!まだ皆いるんですよ?それにビール買って来いって部長も……」
「 渚 」
……え?
ピタリと立ち止まったセンパイは、ゆっくりと振り返る。
あたしを見下ろしたその瞳に、なぜか胸がギュッと締め付けられた。
真っ黒な髪。
その髪が風にのってフワリと持ち上がる。
緩んだネクタイ。
軽く羽織られただけのジャケット。
センパイは真っ直ぐにあたしを見下ろして、それからはっきりと言った。
トクン
トクン、トクン
心臓が加速する。
惹きつけられる。
「俺はお前が欲しい。 今すぐだ」
「……っ」
なんの迷いもない、あたしの大好きな、センパイの眼差しだ。
ほんと……センパイは、ズルいです……。