極上な恋のその先を。
「あれ?センパイ達どこ行ってたんですかぁ?」
宴会場に戻ると、すっかり出来上がった真山くんが二ヘラと笑った。
よく見れば、柘植さんの姿もない。
相変わらずだな……。
なんて思っていると、何かに気付いた真山くんが嬉しそうな声を上げた。
「あー!渚さんたち手ぇ繋いでる~」
「え!」
指までさされ、ギョッとして見下ろせば確かにあたしの手をセンパイはしっかりと握りしめたままだ。
ひえええ!
すっかり忘れてた!
慌てて手を引こうとすると、逆にギュッと力を込められた。
え、センパイ?
ガバッと見上げると、さらにその腕を引かれ、鞄が置いてある場所に連れていかれる。
センパイは何の迷いもなくあたしの鞄を拾い上げると、部長や時東課長に視線を投げた。
そして、一言。
「すみませんが、俺たちこれで失礼します」
「……」
なんとなくわかってはいたけど、いざ言葉にされるといたたまれない。
一瞬シンと静まり返った部長たちも、すぐに笑顔を取り戻した。
「っはは! 見せつけるな~。おう、お疲れ!」
「ぶはっ! お疲れっしたぁ」
部長と真山くんに笑われて、その隣の時東課長には優しく微笑まれた。
うぅ……。
なぜか楽しそうなみんなの笑顔に見送られ、あたし達は宴会場を後にしたのだった。