極上な恋のその先を。

すぐにタクシーをつかまえて、あたしが連れて来られたのは。

センパイの家……。



お互い話す言葉も見つからず、けれど決してそれは嫌じゃない。
手を繋いだまま、あたしは促されるままセンパイの部屋へと招かれた。

瞬間香る、アロマの香り。

センパイの……香り。


「……」







――パタン


重たい扉が閉まる音と同時に、掻き抱くようにキスが落ちてきた。

いきなり深く求められ、持っていた鞄がスルリと手から離れた。
玄関に転がった鞄には目もくれず、あたしはセンパイの首に腕を伸ばす。



「ん……」



壁に抑え込まれるようにキスをして、着ていたジャケットはセンパイの手で器用に脱がされていく。

身体を這うセンパイの手は、すごく熱くて……。

嬉しくて、泣きたくなった。


スカートの中に滑り込んだその手で、ハッと我に返る。



「あ、あのセンパイっ……」

「ん?……なに」



伏し目がちに見下ろされ、たまらずに俯いた。


「シャワー、浴びたいです」


ジッと見つめられ、すべて見透かされた気分になって落ち着かない。
上気した頬に、すでに熱をもった身体の事は、嫌ってほどわかっていた。



< 24 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop