極上な恋のその先を。


それからあたし達は、3年分の距離を埋めるように
何度も、何度も抱き合った。


グズグズに溶け合って、どこからがどちらの境界線なのかもわからなくて……。
いっそのこと、なにもかもひとつになれたら。



愛おしくて
切なくて
たまらなくなって

何度も、何度も。


気持ちよくて……おかしくなりそう……。

意識を手放しかけて、でもそれはすぐにセンパイに引き戻される。



「渚……、なぎさ……」




肩口で紡がれる、センパイの切なげな声。

また涙が零れ、大好きなえりあしに指を絡ませてキスをした。





そうして……。


空が白み始める頃。
優しく髪を撫でる心地よさに誘われて、あたしは意識を手放した。





夢を見た。


あたしは空を飛んでるの。



大きな船に乗ってる。
真っ白な帆が風ではためいる、帆船だ。


舵を握るのはセンパイ。

ああ、そうだ。あたしはきっと。

センパイの動かす船に乗って、どこまでも行くんだろうな。

どんな嵐が来ても、きっと大丈夫。
この人となら、絶対大丈夫。


穏やかに、のんびりと蒼い蒼い空を飛ぶ船。


どこまでも、どこまでも。



そんな夢だった気がする……。



< 27 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop