極上な恋のその先を。
突然の訪問者
――――――……
―――……
そうして、あたし達はたくさん話をした。
パリでの慌ただしい生活の事。
磯谷さんには、週末の食事も一緒にとるくらいお世話になっていた事。
今日まで連絡くれなかったのは、向こうで使ってたWi-Fiが故障してしまって使えなかった事。
それから。
本当は早く会いたくて、成田から、真っ先に会社に来てくれてた事。
3年分の思い出を、ふたりで共有する為に。
たくさん。たくさん。
その合間にキスをしたり戯れあったりしながら、甘い蜂蜜みたいな時間をセンパイの腕の中で過ごした。
そうして、やっとベッドから抜け出した頃には、すっかりお昼時になっていた。
「わあ!美味しそうですねッ」
木製のテーブルに置かれたのは、出来立てのチャーハン。
パチンと両手を合わせてそう言うと、キッチンにいたセンパイが振り返った。
「ほんとにんなもんでいいのか?」
「はいッ!ずっと食べたいと思ってたんです。センパイのお手製チャーハン」
「……」
そんなあたしを横目で見て、センパイはスープ皿をふたつテーブルに並べながら目の前に座った。
それを確認して、小さく手を合わせる。
「いただきます」
「どーぞ」
あたしが言うより早く、センパイはレンゲを口に運んでいる。
その髪には、大きな寝癖がついていて、なんだかすごく新鮮だった。
モゴモゴと頬を動かすセンパイが可愛くて。
たぶんあたし、今すっごくだらしない顔してると思う。
気を取り直して、まだ温かいチャーハンをパクっと頬張った。
ん!
「んんんッ! 美味しい~!」
思わずパッと頬を抑えた。
美味しくて、ほっぺた落ちちゃいそう!
さすが、中華好きなだけある!
感心しながら、次々と口に運んでいると。
痛いほどの視線を感じてハッと我に返った。
「ごほっ……な、なんですか?」
それはもちろんセンパイのモノで。
気が付けば、センパイのお皿はすでに空。
頬杖をついたまま、あたしをジーっと眺めていたらしい。