極上な恋のその先を。
あたしが、センパイと一緒にパリにいたのは最初の1ヶ月間だけ。
研修と言う名目で、ついて行ってもいいと言うのが、部長たちからの条件だった。
ぼんやりとそんな事を思い返していると、頬杖をついた真山くんが宙を仰いだ。
「最初の話だと……、センパイがパリに行くって言うのは3年だって言ってましたよね?」
「うん」
「なら!今年で3年。今月帰ってくるんでしょ?」
「たぶんね」
「た、たぶんって……渚さんも知らないんですか?」
ギョッとしたように身を乗り出した真山くんから視線を落とし、手元のカップを見つめる。
「知らない」
「え?」
なんだか無償に腹が立って、あたしは残りのコーヒーを一気に飲み干した。
途端に広がるほろ苦い香りに、泣きたくなる。
「知らないって……」
だって。
知らないんだもの。
ここ最近、ぱったりとセンパイからの連絡が途絶えてしまった。
まさに音信不通状態。
もともとそんなに連絡をくれる人じゃなかったけど……。
それでも3日に一度は電話かメールをくれていた。
忙しいって言ってたから、最初はそうだと思ってあたしからは連絡しなかったけど……。
それにしても、なさすぎる!