極上な恋のその先を。
「あっはは。いや~、予想ど通りの反応だね~」
あははって柘植さん……確かに大事な人が出来たって話は聞いてたけど……。
いつからそんな……。
チラリと見やると、しれっとした顔でハーブティーをたしなむ美優。
そして、いつもと同じ、飄々とした掴みどころのない笑みを浮かべた柘植さんだ。
「あの、おふたりって、その……」
「私と、雅哉?」
雅哉って、柘植さんだよね。
聞きなれない……。
「ん?俺達がなに?」
頬杖をついて、コトリと首を傾げて見せた柘植さんは、なんだか楽しそうだ。
「なにってその……つ、付き合ってるんですか?」
「付き合ってるように見えない?」
え?と柘植さんが目を丸くする。
美優はまだティーカップを口元に添えている。
「見えないというか、信じられないと言うか」
モジモジと言うと、柘植さんが嬉しそうに笑いその腕を美優の肩に伸ばす。
「ずーっと口説いてたんだけどね?ほんの2ヶ月前、やっと首を縦に振ってくれてさ。晴れて俺達は恋人同士に…………イテテ」
見ると、肩に置かれた柘植さんの手を、美優がキュッとつねっていた。
それでも嬉しそうに笑う柘植さんに、美優の頬がジワリと熱を持つ。
「声が大きいわよ。 まったく」
「ごめん。 ついね、つい」
そうなんだ……。
柘植さん、美優の事ずっと好きだったんだ。
少しだけ雰囲気の変わったふたりを見ていると、胸の中がふわりとあたたかくなった。
「それで? 渚ちゃんはどうしてここに?」
「あ」
パッと時計を見ると、センパイ達がお店に入ってから1時間くらいは経っていた。
早ければ、そろそろ出てくるはず。
あたしは慌てて鞄を引き寄せると、お財布を取り出した。