極上な恋のその先を。

え?

ギョッとして、慌てて壁からこっそり覗いてみると、そこには見知らぬ男の人と、センパイのお父さんの姿があった。


「イズミは、いないみたいね」

「う、うん」


確かに。

そこにいるのは、恰幅のいい大柄の男の人。
それに、着物を着た女の人がふたり。ひとりは、あたしよりも下か……同じ年くらいかな。

どちらの女の人も雰囲気が似てるから、やっぱり親子なんだろう。


その三人に詰め寄られるように、久遠センパイのお父さんがいて深々と頭を下げていた。



「来て早々帰るなんて、一体どういうつもりなんだね和泉君は!」


え、帰った?

センパイは、もう帰っちゃったの?



この展開は、誰がどう見てもお見合いだ。

胸がギュッと締め付けられた。
お父さんがセンパイに会いに来たのは、そう言う理由からだったんだ。



ここ最近、センパイがらしくなかったのも、もしかしたらお父さんからお見合いの話を持ち出されていたからで。

何か言いたそうにして、口をつぐんでしまっていたセンパイも、本当はあたしに言わなくちゃいけないって、思ってたから?



でも……センパイは、あたしに秘密にしていた。

どうして?
あたしには、相談もしてくれないの?

それとも……お父さんからのお話だから、断れない?


だけど。
だからって。



頭の中グチャグチャだ。

センパイと話がしたい。
ちゃんと、久遠センパイの口から聞きたい。


行かなきゃ。


そう思って、一歩を踏み出したその時だった。



「だから調子に乗ってると言われるんだよ」



え?



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