極上な恋のその先を。
い、今なんて……。
ドキン
「……」
よ、よよよよ……っ!
目を見開いたままのあたし。
センパイはそんなあたしをからかうように、イジワルな笑顔で言う。
ドキン ドキン
「傍にいてくれんだよな? 俺のハチ公は」
「は、ハチ公って……からかわないで下さい」
わけが分からなくて、ムッと唇を尖らせる。
プイっと顔を背ければ、楽しそうなセンパイの声。
「っはは。ハチ公じゃ不満か」
「当たり前です!」
もうっ!なんなの?
こんなふうにからかうなんてヒドイ!
「渚」
不意に真剣みを帯びた声色で、そっと手を握られた。
ドキンと心臓が音を立てて、触れた指先がジワリと熱を持つ。
センパイは繋いだ手を見つめて、そっとあたしを見上げた。
真っ黒な前髪の向こう側で、センパイの瞳がキラキラと揺れた。
薄暗いオフィス。
小さな明かりだけが、あたし達を照らす。
センパイは、口角をクイッと持ち上げて愛おしそうに目を細めた。