極上な恋のその先を。
あたしは、センパイのこの顔にもっぱら弱い。
だって、まるで子供がいじけてるみたいなんだもん。
そんなあたしを知ってか知らずか、今度は意地悪な顔に変わる。
「だから?」
「へ?」
「だからなに?」
「え?えっと……その、」
余裕たっぷり。
挑発的に言われ、思わず押し黙る。
この顔にも弱い。
つまり、あたしはセンパイには敵わないんだ。
かああああ、と真っ赤に染まった頬に、可笑しそうに笑うセンパイがチュッと唇を寄せた。
「っはは。 変な顔」
そう言うと、センパイは呆気なくあたしと距離をとる。
そして、髪の上でポンポンと手のひらが跳ねた。
……からかわれた!
く、悔しい……。
洗面室へ向かう背中を睨んでいると、センパイは振り返らずに言った。
「ちゃんと連絡しとけよ?日取り」
「え?」
日取り?
そこでようやく視線だけを向ける。
ポカンとするあたしを見て、センパイは口角をキュッと持ち上げた。
「結婚式だよ。 俺たちの」
「!」
け、結婚式……?
うそ……うそ!
「うそぉ!」
やったああああ!