極上な恋のその先を。



リゴーーン
 リゴーーン




教会の鐘の音が鳴り響き。

パイプオルガンの祝福の音色に導かれて、飴色の扉が開く。


ステンドグラスから零れる慈愛に満ちた陽の光の先で。


真っ白なタキシード姿の愛しい人が、穏やかな笑みを湛えてあたしを待っている。



たくさんの人の笑顔に迎えられ。

純白のドレスに身を包んだあたしは、朱い絨毯へ一歩を踏み出した。



この先の未来を信じて……。





祭壇で待っていたセンパイが、左手を差し出した。

レース越し見上げると、愛おしそうに目を細めるセンパイがいて。
ステンドグラスの七色の光をうけて、すごくキレイ。


思わず息を飲んでいると、センパイは眉を下げて笑った。








「もう泣いてんのか?」

「えっ?」


言われて気付いた、頬の涙。


わ……あたしってば、つい……。

真っ赤になって俯くと、牧師様の声が大聖堂に響いた。
指輪の交換をして、ベール越しにセンパイと向かい合う。

いつまでたっても止まってくれない涙を見て、センパイはその瞳を細めて苦笑した。




「お前は……ほんとにすげぇ女だな」

「え?」 


不意に囁かれた言葉に、キョトンと瞬きを繰り返す。

センパイは悪戯な笑みを零して、そんなあたしの耳元に唇を寄せた。



< 78 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop