タイムマシーン

いよいよ学園祭まであと2日となった

どのクラスも準備に追われ

あたしは、クラスと茶道部を行ったり来たりの放課後を

連日過ごしている





そして今日も、茶道部を終えてから教室へ戻る


今日は急に吉田くんに予定が入ってしまい
最後の教室点検を頼まれていた



「遅くなってごめんね。後はやるよ」

まだ何人か残ってる子がいた


「片付けくらいやるよ」と言って
半ば無理矢理残りの子を帰した



…あれ?

この看板、あとちょっとで終わるじゃん


まだ5時すぎだし、少しでも作業を進めておこう



ダンボールを切り貼りしてる部分に取りかかった

1時間くらいで終わりそうだ



1人でいると、色々なことを考えてしまう

『過去形ですね』と吉田くんが言ってた

あたしは少しでも前に、未来に進んでいるのだろうか





!!

「痛っ!!」

考えごとなんかしてるから、
カッターで指を切ってしまった



血が流れる

血…



他人の血には敏感なくせに
自分の血は平気なんだなと冷静に思う



こんなもんじゃない
あの時の血はこんなもんじゃない


傷を見ながら思う

あたしにも一生残る傷が欲しい
そしたら甲斐くんと同じ場所に行ける気がして




―いけない

1人でいるとロクな事を考えない


絆創膏をもらいに行かなきゃ


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