タイムマシーン

あたしも慌てて裏へ行く


りなが椎名くんの腕を冷やしてた


先生は「あなたもお湯がかかったんじゃないの?
後ろの方が濡れてるわよ。見せなさい」と

甲斐くんに言った



「いや、俺は…」



「いいから早く!」と先生は半ば無理矢理に
甲斐くんのTシャツを脱がせた







――――!!!!





晒された甲斐くんの右の肩

そこには3センチほどの傷

プールで初めて見たときの衝撃を思い出す




――ドクン







変わらない

同じ場所に同じ傷がある




――ドクン


『良かった。火傷してないみたい』
そんな声が遠くから聞こえる




あたしは傷から目が離せない


見たくなかった?

見てはいけなかった?

見なければならなかった?

見ようとしていなかった?



ドクン

―――――――苦しい




胸の前でひたすら拳を握るけれど

苦しさは治まらない




あたしが、
あたしがつけた


あたしが、走ったから

あたしが、甲斐くんを傷つけた
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