タイムマシーン
―さて、あたしも帰ろう
「篠崎」
「乗るか?」
「うん」
甲斐くんと2回目の自転車だ
今夜は風が少ない
もうすぐ夏なのを感じさせる
「自分の自転車どうした?」
「キューピッドになった」
「なるほどね」
相変わらず甲斐くんの背中は大きいな
少しだけ、少しだけ…
この前と同じように
遠慮がちにシャツを掴んでいた手を
少し前に伸ばす
キュッ
額をコツンと背中に当てた
「ん~珍しい。甘えんぼ?」
「…甲斐くん、ありがと」
「んー」
「………ごめんね」
「何が?」
「…全部」
全部のごめんと全部のありがとう
「遠回りするか?」
「…うん」